2014年04月13日

本感想 『手づくりの化粧品と石けん』

 オールカラーで華やか。
この仕様・内容で1100円は安いと思いますv。
用語の解説も細かいし、とても楽しく読めました。

 こーゆーのみるとね~、ほんと、石けん作りやりたくなるんだけども~~。
まだ読むだけ。ワクワクしつつ、関連本を読んでます。
肌が ちょっと敏感よりになってきているという、切実な問題もあるんだけどm(_ _)m。



 巻末に、材料を手に入れることのできるお店・サイトの情報がのせられていて、そこも良い。私みたいに、一回やってみたいな~、という場合、通販だと割高になるのかな。送料とか。

 ちょっと遠出しないと『生活の木』とかないんだよねぇ。


<データ>

『手づくりの化粧品と石けん』
成美堂出版
2003 9発行
posted by イナ at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

本感想 『国際政治のニュースが面白いほどわかる本』 清水雅博先生

 この本 ホントに面白い。何が面白いかというと、ハムスターがっっ。
東西冷戦から現代までの世界情勢の流れを、説明する人&ハムスター2匹が聞き手という会話形式で話が進んでいくんだけど、なぜハムスターなの!!。
 しかもオスメスで名前がハム夫とハム美。適当かよ!!。

 ハムスターのくせに頭いいトコが笑えて笑えて。
旧ソ連で使われてた教科書のことまで知ってるハムスター。時に厳しく政府批判をしだすハムスター。

 まだ読了してないんだけど、今のトコ私の中で最高のセリフは、
ハム夫の、

『これ以上、核保有国を増やさないって言うんだったら、今、核兵器をもっている国も核兵器を削減して廃絶するっていうのが美しいよね~。』

美学かよ!!!。

美学まで語るのかよハム夫!!。
美しいよね~はないだろ。面白すぎだよ。

 というわけでハムスター好きには たまらないこの一冊。




 本文内容に触れてみると。
すごい分かるよ!! というのをうたい文句にしてるわりには、難しいかな正直。
 かわいいハムスターとか出してるわりに、説明がかたい。もっと分かりやすく かみくだいた本はほかにたくさんある。なので中学生にはオススメできない (歴史の教科書ひと通り読んで理解した子やニュースをきっちり観てる子は別として)。

 パッと本を開いてすぐ内容に入れないと思う。とっつきにくい。対象年齢は高校生以上だと思う・・・・・んだけどハム夫ハム美は やけにカワイイ。
 製作側はどのくらいの読者年齢を想定してるのか、ちょっとつかめない (筆者は学生や大人にと言ってるけど)。


 「もっとくだけて!」と読んでて思ってしまうものの 説明は非常にしっかりしてるので、受験勉強に時事も押さえとくか、という生徒さんには いい参考書になりそう。重要単語は太字や赤文字で表記されてるし。

 なにより図表の出来がすごくいい。
こーゆーの教科書に入れればいいのになあ。教科書の図表って、なんであんな見てて萎えるものが多いんですかね。
 この本の図表は手書きで親しみやすいキレイな字で、意外と細かいし分かりやすい。
 ついでに各国首相の似顔絵も微妙に似てて笑える。




 ○結論としては。

 国際情勢の時事をある程度知りたいな、という感じであれば もう少しくだけた本のがオススメ。でも、きっちり把握したい!! という方にはかなりオススメ。


 私、時事ネタ苦手なんだよなぁ・・・。
ニュースみなくちゃ・・・。





 ※補足

 この『面白いほどわかる本』はシリーズで出てるんだけど、やっぱり大学受験生が主な対象らしい、と判明。筆者も予備校の先生だし。
posted by イナ at 01:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月11日

小説感想 『天使の囀り』 貴志祐介先生

■私の中の貴志祐介先生作品のベストが入れ替わったよ……今まで『クリムゾンの迷宮』だったんだけど、こちらになりそう(いや、クリムゾンもほんとに傑作だと思うんだけど)。貴志先生の作品、『ISOLA』が初めて読んだものだったんだけど、これが私ハマらなくて。
この作家さんは私はそんなかなー、と思ってた時期が長いんですよね。
 それから、映画化されたあたりで『青の炎』を読んで面白い!となって『黒い家』や『クリムゾン』、『悪の教典』等作品を読み進めてたんだけど、『天使の囀り』と『硝子のハンマー』は未読だったんです。
 最近『クリムゾン』を読み返して、貴志先生のまた読み直してるんだー、次は『黒い家』かなーって話をしたら友人が天使いいよ!と力説するので読んでみた。
『ISORA』ももう一回トライしようかと。今読んだら面白いかも。『天使の囀り』は1998年に発行されているんですね。10年以上前なのかー。


■あらすじ
 早苗は都内のホスピスに勤める精神科医。恋人の小説家・高梨は記事を書くためアマゾン探検隊に参加している。
そこで彼は、奇妙な経験をしたらしい。帰国した彼はひとが変わったようになり、以前は恐れていた「死」に関心を寄せ始め、ついには不可解な死を遂げてしまう。
同行していた探検隊メンバーにも異変が現れていた。
 高梨の残した「天使のさえずりが聞こえる」という謎の言葉。早苗は恋人の死の真相を知るべく動くが、そこには理解しがたい現実が待っていた。

 的な。

■前半はまったりと、じわじわ気持ち悪いノリで話がすすみ、後半は衝撃の事実の繰り返しとどんでーん!!な展開で息もつけず。ラストでなんか泣けてしまうというすごい話。
とにかく未読のかたには読んでほしい。なんで今まで読まなかったのかわからない。

 現実にあったら怖いけど、現実にあったら少し救いかもしれない話。

■以下ネタばれありあり。
読んでしまったら最初の衝撃がなくなってしまうので、ご注意を。

■早苗
 素敵な主人公だったなあ!。早苗好きです。
聡明で、正義感が強く、理知的で、でも影のある美人(なイメージ)。
彼女でなかったら事件はお蔵入りだったはず。
 ホスピスで終末医療に関わる精神科医で、薬害エイズの被害者たちと日々接している。そんな彼女なので、デリケートで「死恐怖症」の恋人に対し同情もあったけど、腹立たしさもあったろうなと思う。
死んだらどうしよう、と日々悩み苦しむ高梨は、お金もある健康体。余裕のある人生を送っている人ほどかかりやすい症状というのは皮肉。もっと切実に死が迫っているひともいるというのに。

■人がかわってしまうきっかけ、と思われるのが、アマゾンで飢えているときに出会った猿。様子のおかしいおとなしい猿を、探検隊は殺しその肉を食べてしまいます。
読んでいて、これが原因なんだろうけど、毒でもないだろうし、肉食べて人格変わるなんてある?と不思議に。
主人公・早苗と別の軸で進んでいくサイドストーリーでは、セミナーに参加したフリーターの男の子が、あやしい肉を食べさせられるシーンも挟まります。
これを食べると天使の祝福が受けられるのです。

 その正体は線虫。ここまでは、なにかで知識があると読んでて途中でピンとくると思います。
私も、『黒鷺死体宅配便』というマンガでピンポイントでその話があったのでうわたぶんアレ系だ……ぐっろー!となりました。
 でも、わかってもわかんなくてもとにかく怖いのが貴志先生作品。

 この線虫(作品のオリジナル線虫のようです。そりゃそっか)は生き物に寄生すると脳を目指します。途中外耳を通るのでそのときに刺激を受け「天使の羽音」が聞こえるのだという説明。そして脳に到達すると、脳のコントロールを始めます。「天使のさえずり」はこのあたりからなのかな、これは、洗脳ではなく、「恐怖を快感に変える」ものだというのが秀逸。(エヴァンゲリオンにも出てくるA10神経とか関わってます)

 もともとは猿に寄生して、猿を天敵の鷲などに食べさせることで寄生先を広げようとする生き物の本能。もちろん通常の猿なら鷲につかまらないようにするし、逃げる。死の恐怖があるからです。けれど、その恐怖が寄生により快感になると、鷲に近づく、鷲から逃げない猿になります。

 人間が寄生されると、「以前怖がっていたものに快感を覚える」性質に変わります。
遠い未来の死に怯えていた小説家は死大好きになりスナッフムービーや画像を収集しはじめ、蜘蛛が苦手な青年は蜘蛛を捕まえ部屋に放ち、食べ始める。顔の傷跡を気にしていた青年は自ら顔に傷をつけ、薬品で焼き溶かすことを楽しもうとする。

 高じると自分を殺すまでの行為に発展。恐怖の連鎖自殺の原因はこれだった。ここまででも、素晴らしい筆力でもうグロさ極まりないです。
自分だったら……とか考えると……。私はものすごく苦手、恐怖を覚えているものはないので……、ああでも黒いGとか嫌ですが……。悪霊とかも怖いので幽霊の幻覚みたりいわくつきの廃墟に自分から行ったりしちゃうのかなあ。
作中の蜘蛛ダメの子みたいに虫(ニョロニョロ系)もけっこうダメだから、ミミズとか集めに行ってしまうかも。マジ勘弁。

 このお話の教訓は、「みんなが食べてるからといってあまりにあやしいものは食べない」「そもそもあやしすぎるセミナーには参加しない」ですかね。

■高梨
 恋人へのメールの文章と、遺作の文章が違いすぎて怖い。感染した後のタッチが別の人のよう。

 サルを食べるきっかけになったのは、彼が食料を川に落としてしまったせいなので、人生最大のミステイク。

 寄生されると食欲・性欲旺盛になります。
すごい食べるけどやせてる人とか、いまも虫いるんじゃない?とかからかわれたりするよね。
ほんとにいたら嫌だな!!。『動物のお医者さん』というマンガでも意地汚い食べまくる犬が寄生虫に冒されていた話があったけど、あれ、くわしく描写されてないけど線虫ってことだよね?!。ギャーーーカリンちゃんーー!!。虫下し飲んでよかったね……。

■線虫
 昔なにかの文章で、「人間が蛇が苦手なのは理由がある」みたいな内容のものを読んですごく納得したんだけど。
よく覚えていないんだけど、フォルムが自分たちと違いすぎるからあい入れない、みたいな理由なんだよね。生理的にダメ、には理由があると。
 手足のない、一本の紐のようなその形はあまりにほかの生き物と違っていて、とにかく受け入れられないみたいな。だから特殊で、恐れたり敬ったりするみたいな主旨だったかと思います。蛇は神様でもあるもんね。

 同じ形状といえばミミズとか線虫とかもそうですが!!。あれが土にいると考えると素手で地面を掘れないよ!!。もやしもんのオリゼーとかはかわいいけどさ……ああいうのじゃないじゃん……。

 どんなに多幸感に包まれようが、天使に祝福されようが、その正体が線虫に脳を這いずられて網を作られてるせいだったら受け入れられません…………。

 線虫怖い。
実際この話に出てくるように、宿主を別の生き物に食べさせようと操る奴すでにいるわけだから。
おちおちできない……!。

■『怖いものが好きになる』効果
 でもこれってすごいことだよね。つらいことが楽しくなる。マイナスの感情がなくなる人生。
 感染が進むと身体を食い物にされて自殺しなくても殺されてしまうのですが(ここの描写は映像化できない、お食事中に読むのはやめましょうな感じです)、
寄生初期から、羽音、さえずり、ノンストレスの幸せ、のここまでだったら悪いことはないんだよね……。

 早苗は、ふたりの恋人の命を奪った憎い虫を、最後に、ひとりの少年に与えます。
ホスピスで、なにもわるくないのに命が尽きようとしている少年。
少年は、痛みもなくなり(痛みや辛さ、恐怖が快感に変換されているので)、天使に包まれ、家族が待っている場所に行けることを楽しみに亡くなっていきます。

 虫自体には善意も悪意もなくて、ただ己の繁殖のために活動をしているけれど、この少年は間違いなく救われて死んでいる。
その死を見届けて、早苗はすべてを警察に話そうと出頭の意志をかためてお話は終わるんだけど、この読後感がなんともいえません。

 この少年のくだりが泣けるし、作者が薬害エイズ問題に本当に憤っているのが伝わってきました。

 早苗が感染しているのかいないのか、それは名言されていないので、そこも気になるところです。
(線虫に冒された遺体を隠滅しようとしているとき、遺体の身体から出た液体が依田さんは目にかかり感染。早苗は髪の毛だけだったみたいだし大丈夫だったのかな。目って感染しやすい場所っていうよね。平山夢明さんの作品で、暗い映画館でそっと知らない人が腕を伸ばしてきて目をなでられて、気持ち悪くて病院に行ったら性病の菌が発見されたみたいな話があった。細胞を食べて失明のおそれがみたいな。怖!)

■依田さん
 高梨という恋人を失った早苗に新たに現れた探偵役。そして恋愛フラグ。
依田さんーーーーー!!。
偏屈な学者さんで、事件にぐいぐい迫るし行動的だし、かっこよかった!。

 早苗とともに真実に到達。すべてを始末し、解決したかに見えた、が。その彼が……
の作りがホラーでしたよ…………。

 寄生された遺体から弾け出た粘液が目に入ってしまった依田さんは、感染していたのです……。嫌あああ。

 「私の彼、あんな事件があったのに落ち着いててイカス!」と思ってたら、そんな不安や恐怖が快感に変わっていたからだったんです。だから表面上はとても安定し余裕があるように見えます。
彼の部屋から感染疑惑が出てきたあたり、ほんと恐怖映画のよう……。活字なのに映像浮かぶ。
いろいろ終わって、物語の終わりに向けラブな時間になるかと思いきや。

 線虫が与えてくれる、このすばらしい心の安定を早苗とわかちあいたい!と彼は早苗も寄生させようと迫ってきます。依田さんがまた表面上とても落ち着いているので余計にサイコ。

からくも脱出した早苗の機転すごすぎる。ここの終盤だけすごく直接的なアクティブホラーでしたね。

■副家さん(新聞記者)
 こっちが探偵役になってもおかしくなかったはずなんですが、早苗が依田さんスキーなので出番なし。忠告に来てくれたり、悪い人ではなさそう。

■黒木晶子(友人)
 職業なんなのか。やたら神話に詳しい、直接事件解決に結びつかないんだけどためになる神話知識をたくさん教えてくれました。←確認したら、高校の先生でした。
テュポンってなんかのRPGでみたわ……。オタやってると、微妙にいろんな知識をかじるよね。

 いい友人だなー。早苗が出頭したあとの、福家さんと彼女の動向が気になる。

■第四段階
 感染末期。
そもそもは人間は自然界で天敵がいないので(この話だと、天敵は「ストレス」なのかな?)補食されないまま感染し続けているとこうなってしまう、という段階。
 線虫は身体のなかで増殖し、ふくれあがり、身体を巣にしてしまう。
その際、遺伝子に干渉して人間の身体は作り変えられます。手足はいらないので養分にされ枯れてしまい、脳と上半身で快適に暮らすため肋骨・頭蓋を膨らませ籠のような形に作りかえていきます。

………………………………小説に挿し絵がなくてよかった。

■棋院院生の女の子
 『ヒカルの碁』に出てくる伊角さんのような設定で泣けた。つらい状況に自分を変えたくてセミナーに参加しちゃったんだね……。伊角さんが中国滞在したみたいだな…。
 碁のやりすぎで爪が減ってしまうのか……。たしかにあの独特の石の持ち方、不思議ー。あれ打ちやすそうには見えない(かっこいいけど)。

■ギャルゲー好きの男の子
 家でギャルゲーやってるだけならこんな目に遭わなかったのに……。
最後、変貌した彼がゲームの主題歌を壊れかけた声帯を必死に使って歌うシーン、悲しい…………。

■蜷川教授・森助手
 気づいたひとはニヤリ、気づかなかったひとは「お前かーーーー!!」ととっても楽しい隠し球ふたり。

 「メメント・モリ」って死を思え、って意味だっけ。
いろいろと暗示があるなあ。早苗がセミナーに潜入したときに『エウメニデス』(復讐の女神)と名乗ったのも意味深。

 寄生肉を、悩める老若男女にばらまいた、悪魔か救世主か。

 森くんはアマゾンでもギャルゲーをやっていたという認識でいいんだよね?。彼がギャルゲー好きだったから、セミナーのHPにもそのキャラの画像を使ったという流れだよね。蜷川教授がギャルゲー好きだったらどうしたら……。アマゾンでもメール送れるんだからゲームもできるのかなあ……。

■赤松先生
ほんとにほんとにほんとにほんとになパークで虎に咬まれてしまったひと。
行ったことないのですが、車から生身で出られちゃうの?これ昔の話だからかな?。車から出られるならこんな事件ほかにも起こっちゃいそうだけど……。

■天使
 天使の羽は大型鳥の羽。
言われてみれば……けっこう獰猛そうなのついてる…………。

■ウアカリ(猿)
 画像検索してびっくり……!
これはほんとに、なぜこんな進化を?と気になりますねえ。それに対しての貴志先生の解答案、すっご!(感染された個体を見分けやすくするため。脳に感染するので、線虫の這ったあとが頭蓋の外側に残ることがある)。
頭部にまったく毛のない、顔が真っ赤な猿です。これを食べたのか探検隊ーーー!!。

■近くにまた再読したいです!あまりに先を急いでしまい、ちょっともったいない読み方をしてしまった。けど、先を知らないと眠れん!な境地にさせる作品でした!!。
posted by イナ at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする