ネタバレありです。
『瞬殺怪談 刺 』
平山夢明 他
瞬殺怪談 刺 (竹書房文庫) [ 平山夢明 ]
■『60秒で読める実話怪談』、というコンセプトの瞬殺怪談。ショートショート好き!!(星新一大好き)
短いお話がたくさんのっててサクサク読めます。お化け系です(私は怖い話はお化け系と東京伝説系にわけてます)
挿絵とかもないので外でも読みやすいです(1ページ写真が入ることあり) ただ表紙はホラー!て感じだけど(;'∀')表紙おどろおどろしてるの苦手。
平山夢明さん目当てで読みましたが、この本で一番印象的だったのは、つくね乱蔵さんの作品『ベランダと息子』
以下ストーリーネタバレです。
落ち着きのない5歳の息子にいつもイラついている父親。
妻が仕事で息子と家でふたりきり。遊びに行きたいと騒ぎ続ける息子を無視していると、ふいに静かになった。
見るとベランダの柵を越えようとしている息子。
マンションは一階で、下は芝生。痛い思いをすればいい、と止めずに眺めた。
予想に反し、息子は大けがをし亡くなった。
ベランダから落ちた先にはコンクリートブロックがあった。妻が庭造りをしようと買っておいたものだった。
お化け要素は、
その後父親がベランダを見つめると、何度も息子が現れ、柵をこえ落ちていく。
というラストなんですが。
このお話、はっきりとは書かれていないんだけど伝わってくるものが多くて、読んでて「おー!」て感じなんです。
・落ち着きのない息子→描写的に元気な子というより多動とかちょっとあるのかな?て感じ
・妻が仕事でいないので任せられずイラついて無視→共働きなのに育児に参加していない→夫婦仲も悪い?
・ベランダの先→芝生しかないと父親は思っている。妻の行動を知らない。会話がない?
事件後離婚し、仕事も辞め、そのマンションにひとりで暮らす父親(分譲マンションなのかも)。
ぼうっとベランダを見つめて過ごしていると息子が見える。→やばい。
秀逸なのがラスト。
【】内引用
【翔太くんが何度も何度も現れ、柵を越えて落ちていく。何かすれば止められるのかもしれないが、全くその気にならないという。】
怖い!!!
助けられなかった息子の幻を、助けようとするのが普通だと思うんですよね。
でも身体を動かさず、よどんだ瞳でただあの時と同じように眺めてる父親。不気味!!
ほんとこれ面白いです。
シリーズで出てて、3冊読んだけどこれが一番好き。
長文でがっつり怖いのも読みたい。
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2019年05月19日
2019年03月05日
最近読んだ本いろいろ
すべてネタバレありです。
『人生が整う 家事の習慣』
本間朝子、 藤原千秋
家事の基本をさっくり記した本。イラストがかわいいので楽しく読み進められます。
さっくりあっさりなのでもう少し説明が欲しい気も。
いろんなお掃除道具が出てくるけれどその特性とかもっと補足がほしいです。ここには重曹、ここにはアルコールがいいよ、みたいな情報で終わるので。なぜいいのか、を科学的に教えてほしい気がしました。
個人的に一番お役立ち!と思ったのはクイックルワイパーにシートを5枚くらいつけておくというもの。
一枚ずつやってたー!そうか、めくれるコットンみたいにできるのね!これはさっそくやります。
--------------------------------------------------------------------------------
『10キロやせて永久キープするダイエット 』
山崎潤子 (著), 海保博之 (監修)
10キロはいいけど3~5キロ痩せたいです。でもカロリー計算とかできないし糖質制限はする気もない。
そんな私ですがなんとなく読みました。
ダイエットに失敗し続けてずっと小太りだった作者が内面に目を向けて新たなダイエットをする話。
たしかに、おなかが減っていないけど食べてしまうとか、今食べてはいけないのに食べてしまうとか、心の問題だよね。病んでるよね。
この作者さんはカロリー計算が得意なのですごい。
菓子パンひとつ
と、
ご飯ちょっとと納豆と卵が同じカロリー
だから菓子パンよりそっちのほうが満足感があるはず。と菓子パンをあきらめる描写とか好きです。錬金術師みたい。菓子パンってカロリー高いんだねえ。
イラストがとってもかわいいです。
編集の女性ふたりのダイエットのマンガ記事もあるんですが、ダイエットあれこれよりも都会の働きマンの日常優雅ーって思っちゃうよね。会食、ビストロ、ヘルシーランチのお店……でも好物ブルボンのお菓子とかかわいいな。
--------------------------------------------------------------------------------
『好かれる人のモノの言い方 第二印象で心をとらえるちょっとした習慣32 (スマートブックス) 』
西松 眞子
表紙にかわいい女の子が描いてあったのにどこにもでてこない……サギだー。
本文とても真面目なので、あの前面イラスト表紙で逆に買いにくくなるひともいるだろうに。表紙がアニメ絵だと買いにくいこと多いですよね……小説の『アナザー』きつかった……
わかりやすく読みやすい文体で好きです。
本当に、ふだんから心がけないといけない習慣がまとめられています。人にあいさつするときは顔だけでなく上体も向ける(顔すらあげない人もいますよね……)。これはとても大事だなとあらためて。気を付けていこうと思います。
好かれなくてもいいけど嫌悪されないくらいを保っていきたいです……低い目標。
--------------------------------------------------------------------------------
『育児しんどいマンガ~もうママって呼ばないで~』
爽田するめ
絵がすごくかわいい!
なんかレゴブロックみたいな。とくに旦那さんの髪型がラブリーです。メッティ?
あと積み木をえいって投げる悪戯をする子供のデビルな表情もかわいらしい。毎日されると頭にくるでしょうけど。
かわいらしい絵柄に反してヘビーな内容。
いい母親になれると思っていたのに、子供との生活に追い詰められていく主人公。
最初はなんでこんなに子供に対してもやもやがあるのか読んでいてこちらもわからないのですが、主人公の人生における母親がキーになっていると気づいていく中盤。
母親に支配されて育ってきたから、子供を支配したいし自由に生きている子供をどこかで許せないと感じているという。
こわいー!
自分の問題に気づき、夫の支えもあり病院に通うようになってホッとします。
虐待のニュースをみてどうしてこんなことをするのかわからない、と思いつつも自分も紙一重でそちらにいってしまいそうな危うさがありました。
昔2ちゃんねるのまとめブログみたいのなので読んだ記事で、
母親に支配されて育った夫が、愛されて自由に育っている娘に嫉妬しいじめをしてしまうというのが怖くて記憶に残ってます。
子供のランドセルを捨てて喜んだりしてる様子がホラーでした。
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『人生が整う 家事の習慣』
本間朝子、 藤原千秋
家事の基本をさっくり記した本。イラストがかわいいので楽しく読み進められます。
さっくりあっさりなのでもう少し説明が欲しい気も。
いろんなお掃除道具が出てくるけれどその特性とかもっと補足がほしいです。ここには重曹、ここにはアルコールがいいよ、みたいな情報で終わるので。なぜいいのか、を科学的に教えてほしい気がしました。
個人的に一番お役立ち!と思ったのはクイックルワイパーにシートを5枚くらいつけておくというもの。
一枚ずつやってたー!そうか、めくれるコットンみたいにできるのね!これはさっそくやります。
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『10キロやせて永久キープするダイエット 』
山崎潤子 (著), 海保博之 (監修)
10キロはいいけど3~5キロ痩せたいです。でもカロリー計算とかできないし糖質制限はする気もない。
そんな私ですがなんとなく読みました。
ダイエットに失敗し続けてずっと小太りだった作者が内面に目を向けて新たなダイエットをする話。
たしかに、おなかが減っていないけど食べてしまうとか、今食べてはいけないのに食べてしまうとか、心の問題だよね。病んでるよね。
この作者さんはカロリー計算が得意なのですごい。
菓子パンひとつ
と、
ご飯ちょっとと納豆と卵が同じカロリー
だから菓子パンよりそっちのほうが満足感があるはず。と菓子パンをあきらめる描写とか好きです。錬金術師みたい。菓子パンってカロリー高いんだねえ。
イラストがとってもかわいいです。
編集の女性ふたりのダイエットのマンガ記事もあるんですが、ダイエットあれこれよりも都会の働きマンの日常優雅ーって思っちゃうよね。会食、ビストロ、ヘルシーランチのお店……でも好物ブルボンのお菓子とかかわいいな。
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『好かれる人のモノの言い方 第二印象で心をとらえるちょっとした習慣32 (スマートブックス) 』
西松 眞子
表紙にかわいい女の子が描いてあったのにどこにもでてこない……サギだー。
本文とても真面目なので、あの前面イラスト表紙で逆に買いにくくなるひともいるだろうに。表紙がアニメ絵だと買いにくいこと多いですよね……小説の『アナザー』きつかった……
わかりやすく読みやすい文体で好きです。
本当に、ふだんから心がけないといけない習慣がまとめられています。人にあいさつするときは顔だけでなく上体も向ける(顔すらあげない人もいますよね……)。これはとても大事だなとあらためて。気を付けていこうと思います。
好かれなくてもいいけど嫌悪されないくらいを保っていきたいです……低い目標。
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『育児しんどいマンガ~もうママって呼ばないで~』
爽田するめ
絵がすごくかわいい!
なんかレゴブロックみたいな。とくに旦那さんの髪型がラブリーです。メッティ?
あと積み木をえいって投げる悪戯をする子供のデビルな表情もかわいらしい。毎日されると頭にくるでしょうけど。
かわいらしい絵柄に反してヘビーな内容。
いい母親になれると思っていたのに、子供との生活に追い詰められていく主人公。
最初はなんでこんなに子供に対してもやもやがあるのか読んでいてこちらもわからないのですが、主人公の人生における母親がキーになっていると気づいていく中盤。
母親に支配されて育ってきたから、子供を支配したいし自由に生きている子供をどこかで許せないと感じているという。
こわいー!
自分の問題に気づき、夫の支えもあり病院に通うようになってホッとします。
虐待のニュースをみてどうしてこんなことをするのかわからない、と思いつつも自分も紙一重でそちらにいってしまいそうな危うさがありました。
昔2ちゃんねるのまとめブログみたいのなので読んだ記事で、
母親に支配されて育った夫が、愛されて自由に育っている娘に嫉妬しいじめをしてしまうというのが怖くて記憶に残ってます。
子供のランドセルを捨てて喜んだりしてる様子がホラーでした。
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2017年08月18日
小説感想 『或るろくでなしの死』平山夢明先生
タイトルからすごいですよね。
ハードボイルドのような。
表紙も豆電球が吹っ飛んで首みたいに見えるようなイラストで(ハードカバーのほう)、なんかクセのありそな一冊。
湊かなえさんのことイヤミスと言うけど、平山夢明先生はなんでしょうね。イヤサイコホラー??。
読んでて楽しくはない。でも気になって読み進めちゃう感じ。そして読み終わってもさわやかな読後感はない。虚無感笑。
こちらはある者や物の死にまつわる短編集。ろくでなしだったり嫌われ者だったり英雄だったり。
以下ネタばれ。
■或るはぐれ者の死
子供の遺体が道路にこびりついていることに気が付いたホームレスの物語。
車にはねられ、そのまま踏まれ続けてパッと見もはや人間だったとわからないものになっている遺体。
誰も気づかず、そのままにただ長い期間捨ておかれているという不気味さ。
こういう設定どうして思いつくんだろう。
こんなところにいちゃいけない、と道路と一体化しつつある子供をはがして抱え、埋めてあげようとした彼の行く末に絶句。
娯楽としてホームレスを狩る子供たちに惨殺されてしまいます。
たぶん一番読後感が悪い作品。を冒頭に持ってこられるっていう。
■或る嫌われ者の死
世界観がわからないまま読み進めていくしかなく、中盤がすぎてやっと、死の危機にある男性が世界から嫌われる「日本人」なのだとわかる。
近未来パラレルみたいな。日本はなんだかんだあって環境汚染とかしてすごいつまはじきらしい。せつない。
星新一先生のショートショートにすごい毒とグロをまぜた感じで好き(星先生もけっこう毒あるけど)
■或るろくでなしの死
子供を放置死させちゃう父親の話。
父親がろくでなしなのはわかりやすくて、自分の目の届かないところで問題がいい感じに解決してたらいいなー、みたいなところがすごく腹立つけど、まだ理解できる感じ。
母親のほうが読んでて不気味だったかな…
こういう、響かないひとって怖い。
変に丁寧にしゃべったりとか。
会話がかみ合わないのが怖いよー。
出番は少ないけど存在感のあった、子供。
生まれてくる場所を選べないってやりきれない。
■或る愛情の死
交通事故に巻き込まれ、いまにも車が爆発しそう。
ふたりの息子を必死に助けようとする父親が、ほんとにもうダメだ…と思ったとき、助ける相手を変えてしまう、というこちらもあらすじだけできつい圧のあるストーリー。
長男は身体に障害があり、また病気も発覚。余命も少ないとと宣告されていて、次男は健康。
父親は最後の最後に、長男の手を離して次男を助けようとする。その選択と結果として、長男は家族の見ている前で無残に焼き死んでしまい、妻は夫を憎み出し、次男は焼け焦げた長男の出てくる悪夢におびえ、家族は壊れてしまう。
なんかよく動物も、どちらかしか助けられないなら大きくなった子のほうを助ける(そのほうが子孫を残せる可能性が高いから)って聞いたことある気がするんだけど、このお父さんもあまりに普通のひとで、なんか読んでていたたまれない…
ひどい火傷を負って必死に息子を助けたのに、命を選択したことを妻は許さない。
妻がどんどんおかしくなってく口調がホラー。
どうするんだこの話…と思ったら意外な着地。
余命宣告した主治医本人がが脳腫瘍を患っていた。そして複数の患者にでたらめな余命申告したりしてた…て長男、余命わずかじゃなかったんだと判明。
それを理由に命の選択をしたのに…のに…
次男がほんとにかわいそうでした。
■或る英雄の死
近所にやばいとされる家、って昔あった気がする。
近づいちゃやばいよ、とか一家でおかしいよ、とか。ほんとはどうだったのか知らないけど(家の外観とかから生まれた噂なのかも)
やばい家に近づいてしまった男ふたりの物語。
このふたりの関係性。
少年時代、川でおぼれた主人公を助けてくれた英雄。
足が速かったのに助けた時の怪我で人生が変わってしまった英雄に、消せない恩がある主人公。
おかしな家の者に目玉をつぶされた英雄。
今も彼がやってきて主人公に連れてってもらいその家に呪詛を吐くが、とっくに家などなく更地。というラスト。憂鬱な関係だなこれ。
■或るからっぽの死
ラストがほんのりさびしい。
自分に関心を向けるひとの顔しか見えない男が主人公。
両親すらも彼に関心をなくしていく様が恐ろしい。
交差点などひとの多いところでは、すれ違う相手が一瞬ぶつからないよう自分に関心を寄せるので、パッパッ、と人の顔が点滅しているように見える。
というエピソードが好き。
最後はついに鏡でみた自分の顔が見えなくなる=自分がどうでもよくなる主人公。
ここでも暴力によって目をつぶされるシーンが出でくるけど、短編集の中にそんな場面が2回も出てくるってすごいわ。
この作家さんのフィクション系の作品では殺し屋たちの集まるダイナーで働く羽目になっちゃった女が主人公の『ダイナー』がとにかくほんとにほんとに大好きです。
すごくお勧めです!!
ことあるごとに『ダイナー』を推していきたい心意気。
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ハードボイルドのような。
表紙も豆電球が吹っ飛んで首みたいに見えるようなイラストで(ハードカバーのほう)、なんかクセのありそな一冊。
湊かなえさんのことイヤミスと言うけど、平山夢明先生はなんでしょうね。イヤサイコホラー??。
読んでて楽しくはない。でも気になって読み進めちゃう感じ。そして読み終わってもさわやかな読後感はない。虚無感笑。
こちらはある者や物の死にまつわる短編集。ろくでなしだったり嫌われ者だったり英雄だったり。
以下ネタばれ。
■或るはぐれ者の死
子供の遺体が道路にこびりついていることに気が付いたホームレスの物語。
車にはねられ、そのまま踏まれ続けてパッと見もはや人間だったとわからないものになっている遺体。
誰も気づかず、そのままにただ長い期間捨ておかれているという不気味さ。
こういう設定どうして思いつくんだろう。
こんなところにいちゃいけない、と道路と一体化しつつある子供をはがして抱え、埋めてあげようとした彼の行く末に絶句。
娯楽としてホームレスを狩る子供たちに惨殺されてしまいます。
たぶん一番読後感が悪い作品。を冒頭に持ってこられるっていう。
■或る嫌われ者の死
世界観がわからないまま読み進めていくしかなく、中盤がすぎてやっと、死の危機にある男性が世界から嫌われる「日本人」なのだとわかる。
近未来パラレルみたいな。日本はなんだかんだあって環境汚染とかしてすごいつまはじきらしい。せつない。
星新一先生のショートショートにすごい毒とグロをまぜた感じで好き(星先生もけっこう毒あるけど)
■或るろくでなしの死
子供を放置死させちゃう父親の話。
父親がろくでなしなのはわかりやすくて、自分の目の届かないところで問題がいい感じに解決してたらいいなー、みたいなところがすごく腹立つけど、まだ理解できる感じ。
母親のほうが読んでて不気味だったかな…
こういう、響かないひとって怖い。
変に丁寧にしゃべったりとか。
会話がかみ合わないのが怖いよー。
出番は少ないけど存在感のあった、子供。
生まれてくる場所を選べないってやりきれない。
■或る愛情の死
交通事故に巻き込まれ、いまにも車が爆発しそう。
ふたりの息子を必死に助けようとする父親が、ほんとにもうダメだ…と思ったとき、助ける相手を変えてしまう、というこちらもあらすじだけできつい圧のあるストーリー。
長男は身体に障害があり、また病気も発覚。余命も少ないとと宣告されていて、次男は健康。
父親は最後の最後に、長男の手を離して次男を助けようとする。その選択と結果として、長男は家族の見ている前で無残に焼き死んでしまい、妻は夫を憎み出し、次男は焼け焦げた長男の出てくる悪夢におびえ、家族は壊れてしまう。
なんかよく動物も、どちらかしか助けられないなら大きくなった子のほうを助ける(そのほうが子孫を残せる可能性が高いから)って聞いたことある気がするんだけど、このお父さんもあまりに普通のひとで、なんか読んでていたたまれない…
ひどい火傷を負って必死に息子を助けたのに、命を選択したことを妻は許さない。
妻がどんどんおかしくなってく口調がホラー。
どうするんだこの話…と思ったら意外な着地。
余命宣告した主治医本人がが脳腫瘍を患っていた。そして複数の患者にでたらめな余命申告したりしてた…て長男、余命わずかじゃなかったんだと判明。
それを理由に命の選択をしたのに…のに…
次男がほんとにかわいそうでした。
■或る英雄の死
近所にやばいとされる家、って昔あった気がする。
近づいちゃやばいよ、とか一家でおかしいよ、とか。ほんとはどうだったのか知らないけど(家の外観とかから生まれた噂なのかも)
やばい家に近づいてしまった男ふたりの物語。
このふたりの関係性。
少年時代、川でおぼれた主人公を助けてくれた英雄。
足が速かったのに助けた時の怪我で人生が変わってしまった英雄に、消せない恩がある主人公。
おかしな家の者に目玉をつぶされた英雄。
今も彼がやってきて主人公に連れてってもらいその家に呪詛を吐くが、とっくに家などなく更地。というラスト。憂鬱な関係だなこれ。
■或るからっぽの死
ラストがほんのりさびしい。
自分に関心を向けるひとの顔しか見えない男が主人公。
両親すらも彼に関心をなくしていく様が恐ろしい。
交差点などひとの多いところでは、すれ違う相手が一瞬ぶつからないよう自分に関心を寄せるので、パッパッ、と人の顔が点滅しているように見える。
というエピソードが好き。
最後はついに鏡でみた自分の顔が見えなくなる=自分がどうでもよくなる主人公。
ここでも暴力によって目をつぶされるシーンが出でくるけど、短編集の中にそんな場面が2回も出てくるってすごいわ。
この作家さんのフィクション系の作品では殺し屋たちの集まるダイナーで働く羽目になっちゃった女が主人公の『ダイナー』がとにかくほんとにほんとに大好きです。
すごくお勧めです!!
ことあるごとに『ダイナー』を推していきたい心意気。
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ラベル:平山夢明