2015年11月10日

※ネタばれあり 小説感想 『ロスト・シンボル』 『こっちへお入り』

『ロスト・シンボル』
ダン・ブラウン先生

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■フリーメイソン!
この、単語だけでワクワクさせる組織のすごさ。
私女なんで絶対入れないんだけど。女性のための別組織もあるとは知らなんだ。

作中いろいろと世間の誤解があって大変なのだと説明あり。興味本位にしててすみません……。友愛団体ですからね!。
なんかモチーフが妖しいからさ……ピラミッドとか目とか儀式とか……。

■上下巻700ページ位あるのに、10時間ちょいの出来事なのか……すごい半日過ごしてるなあ、教授。

■あらすじ
ワシントンDCで教授がフリーメイソンの暗号解くのに奮闘する話。
ワシントンかけずり回るので、映画化が楽しみだ!!教授はそれどころじゃないけど毎回名所めぐってるよね。
とか期待してたのに……難航して次の話先に映画にするってなに?!!そこまでの難航てなに?!!。フリーメイソンだから?!(偏見)。

■ロバート・ラングドン
 教授のうっかり、今回も炸裂!。頭いいのに弱点けっこうあるのが教授のかわいいところだよ……萌えキャラですよね教授。

 友人ピーターとは一度も直接コンタクトしてないのに、代理人の言うこと信じてウキウキワシントンにお出かけしてきたら事件に巻き込まれるっていう。
疑って!教授!。
シリーズが続くと教授がコナン君みたいになってきちゃう……この巻き込まれ遭遇率。

 今回、『天使と悪魔』を超えるピンチに陥ってます……いや……あれ、死ぬよね?。一度死んだんだよね?。
読んでて「教授ーー!これ絶対死んだ……」からの、「いいえ、テクノロジーです!」な生還にびっくり……そんなテクノロジー知らないから!(酸素を含んだ特殊な水なので、水責めされましたが水死しませんでした)。
恐怖の描写だった……。
棺に閉じこめられ、中から水があふれ身体を覆っていく……この手法は、拷問されているひとは「ほんとに死ぬ」と思うからとても有効なんだそうな。肺が水にひたされても呼吸できる、ていうとエヴァとかそうだね。あ、エヴァテクノロジーなのか……。

 本来は拷問用途でなく、……なんだ?。臨死体験できるとか瞑想とかそんなのに使うものなんですかね。

 敵は躊躇ない殺人鬼だけど、ラングドンだけはこの方法を用いたのは、一度目の死で解読できなくても、解読するまで死を繰り返すつもりだったのかな。

 あいかわらず、閉所暗所で弱音吐くのがかわいい。
ヒロインに「どうしてロバートを置いていくんだ?」と彼女の心の声のようにぐちるのが微笑ましいし、それをばっさり「臆病な男だからよ」切るキャサリンがいかす。

■キャサリン
 うーん、映画にするとキャストは誰だろう。才女なアラフィフ。美人。

 ヒロインですね。容赦のないひどい目にあってるけど、機転に惚れる……!。

 彼女の秘密の実験室にたどりつくには真の暗闇のだだっ広い空間を歩いて行かないとならない。
彼女も絶対変人。照明いれろ。
広すぎて、あったとしても懐中電灯の光が飲み込まれるくらいの空間なんだろうな。毎日が肝試しです。
ここで殺人鬼と鬼ごっこするハメに。怖かったここ……!。
ケータイ開くときって絶対光が出てばれるよね?!どうしたらいいんだろうこれ。

 助手のこと最初は安否を気にしてたけど、後半は完全に忘却してた模様。
壊された実験データが残ってて喜んでたけど、助手があなた……。

■トリッシュ
 キャサリンの助手。とばっちりで非業の死を遂げることになってしまうんだけど、方法がひどすぎる。

 巨大イカなど貴重生物のホルマリン漬けプールに頭をつっこまれるっていう。そしてその後プールにいれられ、イカと一緒に漂う……。
怪力男の力で頭を押さえつけられる恐怖。口をあけてしまったらどうなるかよくわかってても、ついには反射で口が開いてしまうまでの描写がおそろしい。ホルマリンは劇薬ですからね…………。

 なんかこの子は、謎解きのお手伝いしてくれる子と思ってたので……ショック……

■イノエ・サトウ
お、日本人?!かな。サトウイノエって佐藤井上?そんなまさか!。祈絵さん、とかそういう名前なのかな。
なかなかクセのあるキャラクター。
敵のような味方のようなあやしさもよかった。外見のイメージが手塚マンガに出てくるあやしいキャラクターなかんじ。

■ピーター・ソロモン
 苗字がソロモンてだけでただ者ではないわね……。
お金持ちの賢いひとだけど、そんな恵まれているように見えても母を強盗に殺され、息子は刑務所でリンチ殺しされるという不幸が彼を取り巻いている。しかもそれどころではなかったことが下巻で判明。
ピーター…………。

■マラーク
毎回濃い敵だすなあ……
全身入れ墨だらけの外見、映画が楽しみだー。するよね?映画……。

このひとの正体、聞くとああーー!!なるほどーー!て納得なんだけど、考えてもいなかったからまんまとびっくり!。
息子だから家の鍵の隠し場所知ってたのかー、とかいろいろ。

ただ、収監されているときに、父と看守の会話を盗み聞くって状況は可能なのか?。日本じゃ考えられないような。
どんなつくりの刑務所?。

父に見捨てられたと思った青年が、「変身」して家族を襲いにくる……てこれも恐ろしい。

無毛にするため全身除毛材を塗りたくるというおそろしいことをしている。髪の毛はえなくなっちゃうよ?!。

彼のしたかったことがほんと理解できない……
自分にふりかかるたくさんのガラス片、たしかに綺麗に見えるだろうな。その後襲いくる激痛に、彼も人間だったんだな、って思う。

■謎解き
 なぞは綺麗に解けるけど、その結末がやはりわかりにくいかな……。
やっぱりそこまでしてみんなが守り争うものなのかよくわからない……。
変身、神格化、がテーマな時点で日本人にはピンとこないかも。
日本人的には、生きてる時は人間、亡くなると仏様、という感じですよね。
もう一回最初からきちんと読むとまた違う感想になるかも。結末が知りたくて急いで読んでしまった。もったいない。

聖書は新約しか読んだことなくて、旧約はダイジェストマンガみたいのしか見てないから、聖書知識もちょっとないとかも。

■作品的にはシリーズではやっぱりいまのとこ『天使と悪魔』が一番すき。

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『こっちへお入り』
平 安寿子先生



■たぶん自分だったら本屋さんで手にとってはいなかったと思う。人が勧めてくれることで出会う本があるのはありがたいしすごく刺激を受けるなあ。

■都内で働く女性・エリが、友人の落語の発表会をつきあいで観ることになり、その出会いが彼女を変えていく・・・というお話です。
素人落語教室に通い、作品に触れていくエリと一緒に、読者も「こっちへお入り」、と落語の世界へ。
 エリが落語?知らん!なごく平凡な社会人なので、温度が一緒で親しみやすい。どんどんのめりこんでいくので、途中から置いてかれるけど。

■落語の話だけだったらとっつきにくいところもあったと思うのですが、上述の理由とエリの日常の描写のバランスが良いのでさくさくいけます。
 たぶん働く女性はエリと共感するところすごくあると思う。
 会社ではそこそこの位置だけど、自分じゃないといけない仕事じゃない、とか。
弟はいいけど弟の嫁が腹立たしい。とか(弟の嫁がつけたキラキラネームの姪と甥のエピソードに笑う)身内のキラキラはなんともしがたいよねv。
キラキラネームは呼ぶほうも恥ずかしいので、エリやエリ両親はあだ名で呼ばざるを得ないっていうのもリアル。

■エリ
 落語と出会ったきっかけの発表会に、最後自分も出るところまでお話が進むので、ほんとうに彼女の成長がうれしくて、読んでいて感動。
 落語と出会ったことで、いろんなひとがいる、と多面的に物事が見られるようになって、気に入らなかった部下の憎めないところに気づいたり。
 家の問題でヤキモキイライラするシーンがリアル。

■旬
 中盤までは登場するたびにカチンとくるエリの長い春状態な彼氏。
が、エリの熱に当てられて、(たぶん最初は彼女が知っていて自分が知らないという状態がイヤだった感じだけど)落語にハマってきてからはすごくよかったです。
 なんにでも理屈・解説つけてくる屁理屈お化け時代は、なんでこんなのにビールおごるのエリ!と。
 彼が好きだという「らくだ」という話が私も気になるので(不条理ギャグ……?)ぜひこれは聴いてみたい。
 彼は、落語知識はすぐにみんなを抜いて博士みたいになるけど、実演はへたっぴなままなんじゃないかと想像してます。旬てなんかそんな感じ。

■友美
 落語の世界にエリを引き込んだくせに自分は離れて恋愛に夢中になっちゃった親友。
最後戻ってきてくれてよかったv。
 友美の恋愛エピソードは共感できるせつなさがあったなあ。臆病にもなるよね。

■有名な寿限無から始まり、いくつもの演目とそれにからめた日常エピソードでお話が進みます。タイトルだけは知っている作品や、まったく知らない作品も。
 この本を教えてくれた知人は通勤中落語を聞き始めたのが納得いくくらい、どんなお話なのか、通して知りたくなる。ので私も聞くと思う。
しぐさとかも大事らしいのでCDよりDVDのがいいのかなー。

■そういえば私は一度だけ、春風亭小朝さんの独演会に行ったことがありました。詳しくないけど、たぶんそのとき披露されたのは創作落語だったんじゃないかな。現代の話もまざってたので(アレンジなのかも)。
 小朝さんのお話とお話の間に手品やる人がいたりして、新鮮。
BGMや効果音とかもあったので、にぎやかで楽しかった。
古典落語も行ってみたいです。

■明るいだけのお話ではないけれど、ハッピーエンドで読後感が良いし、軽く読めておもしろかった。

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posted by イナ at 01:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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