2015年10月29日

※ネタばれあり 映画感想 『顔のないヒトラーたち』

■満員だった……。
ヒューマントラストシネマ有楽町が満員て、私初めてですよ! この映画館好きだけども椿事すぎる!。いつも当日数十分前にチケット買って悠々してたのに!。
ラスト4人のとこに滑り込みだったので最前列でした……回をずらせなかったから仕方なく最前でみたけどさ。首が疲れるんだよ!。あと上を見る(上目遣い)というのは美容的にも良くないそうですよ。身長低い女の子は気をつけたほうがいいらしい。

スポンサーリンク





■そんなで注目度高い気がするこの作品。
戦後のドイツ。何気なく平常に戻っているアウシュヴィッツのナチ党員を、若い検事ヨハンらが告訴し裁判にかけるまでを描いています。
流れは事実に基づきつつも主人公の恋などエンタメも多く入れてて、作品としてとても面白い。メンゲレさんについては私うっすら結末を知ってたんだけど、それでもドキドキして話を追いました。

■舞台は敗戦から十数年。
ドイツは立ち直り、戦争を忘れかけている。ホロコーストにいたっては知りもしない。

 もうここが意外ですよね。
作中記者ゲニルカが若者たちに「アウシュヴィッツを知ってる?」と何度も問いかけます。みんな「いいえ」何言ってるの?て顔。
主人公のヨハンも知らず、生存者組織の代表に「しらなすぎる!」と批判される始末。

 有名じゃなかったのか……。こうして裁判して証言されて初めて明るみに出ていったんですかね。ドイツはポーランドを侵略して領地としていたため、アウシュヴィッツ収容所はポーランドにあるから遠いし知らなかった?。でもこの裁判とは別に医者裁判とかもしてるよね?医者裁判はウィキさんで確認したら1946~1947年なので、戦後すぐだなあ……。このへんよくわかんない。

 ちょっと前に戦争してたと思えない街並み。建物も立派。レトロでモダンで画面がきれい!。ヨハンのトラッドなスーツ姿やなでつけた髪、乗ってるスクーターもかわいい!。女の子もファッションもレトロかわいい!。見てて楽しいです。

■ヨハン
 正しいことをしなさいという父の教えに従い、収容所での戦争犯罪を明るみにしようと闘う検事。このひとは架空のキャラらしい。

 イケメンすぎて、暗い映画なのに画面を華やかにしてしまう。イケメンすぎやしませんか。
スーツ姿とパジャマ姿しかない。私服がない!いつでもスーツ。ありがとうございます。スーツといえば、『キングスマン』が続編決定でめでたいですね。再来年待ち遠しすぎる。キングスマンもスーツ映画ですが、これもかなりのスーツ映画。

 サスペンダーや帽子など小道具もすてき。
タバコと酒が欠かせない。画面が煙い。
今の分煙の世の中すばらしいな……『風立ちぬ』もだけどみんなタバコ吸いすぎ。

 正義のために真実を追い求めていったのが、だんだん狂気じみておかしくなってしまい、悪夢に苦しめられ……『ゼロ・ダーク・サーティ』を思い出す。
目と口と両腕を縫い合わされた自分の姿を見てしまった悪夢シーンはびくってきました。収容所での惨いしうちは言葉で語られて、ショッキングな怖い映像はない作品なのに、グロかった……。主人公の精神状態を示したかったんだと思うけど、ここだけ急にホラーのような作りなのは違和感あったな。

 外国映画にびっくりするのは、上司や目上の人間に不遜な態度なところ。ドアバーン!しすぎ。あと問いかけにブスッとしてだんまりとか。態度!。
ゆで卵をキウイみたいに半分で切ってすくって食べるのも異文化だー。なんていうか効率的かも。

 ケンカ別れした仕立屋の恋人にやぶれたジャケットを持っていって「直せる?」と仲の修復を願うシーンがかわいい。
でも母親とはケンカしたまま映画終わってる!そういえば。そっちは放ってんのか!。

■マレーネ
 ヨハンの恋人。
かわいい……安田成美さんと星野真里さん合わせたような。
服屋さんになりたいだけあってファッショナブル。
イヤリングが毎回おもしろい。髪型とかもほんとレトロかわいいーーー!!。

 作品の癒し担当と思いきや、威勢がいい。怖い。
「家にアル中はひとりで十分よ!!!」
お父さんアル中なんですか……復員兵は飲まないとやってられないのか。ポーランドにいたという彼女の父がなにをしていたかは謎のままですが、まさか……。

■検事仲間
 嫌なヤツっぽかったハラー検事が中盤から仲間になったりの胸熱展開。ベタだけど。とても感動。最初はみんな否定的なんだよね。なんで自分の国の兵士の罪をほじくって騒ぐの。もう新しい時代じゃん!と。
戦争中命令されてやった兵士に罪があるのか?と。
でも口の重かった収容者から出てきた事実に、このままじゃいけないんだ、と変わっていって、知らなかったらそのまますぎていくけど、知ってしまったら引き返せない戦争の闇なんですよね……。

証言を速記しながらどんどん表情の変わる秘書さんの演技よかった。
ボス役のひともどっしりしてて、日本でいうと山崎努さんのような大物感。

■シモン
 ユダヤ人の彼の腕には番号が彫られている。
陰鬱な表情がすごく似合う、雰囲気ある俳優さん。

 タバコの火をつけてもらったことで、学校の先生が元ナチとシモンが気づいたことから話は始まる。
この気づいた理由がわかんない……なんで?。手元をみて気づいたけどなんかあった?。わからん!。
SS隊員は体のどこかに血液型を彫ってて、非常時優先的に輸血してもらえると聞いたような気がするけど、そういうのでもなかったような。

彼の愛する子供は双子の女の子。
双子と言えば、『死の天使』メンゲレ医師が好んで人体実験に使いたがったので有名……。

収容されたとき、優しそうな白衣の男が「かわいい双子だね。病院につれていこう」と言い、病院で保護してくれるのなら安心だ、と両親はホッとして見送ってしまったというエピソードが悲しすぎる。
愛する娘は、背中と背中を縫い合わせてひとりの人間のようにされた。その前に実験の限りを尽くされた。麻酔もなく。

 国外逃亡してるメンゲレを裁こうとみんな必死に動くけど、結局メンゲレは逃げおおせてしまうんですよね……現実はままならない……!!。

■ゲニルカ
事件を追う新聞記者。
実は、アウシュヴィッツで見張り担当者だったという過去を持っていた。

この情熱、ほんとは彼もユダヤ人なのかな?と思って見てたので、逆でびっくり。

収容所での出来事を告白したシモンをきつく抱きしめるシーンが素敵でした。

■メンゲレ
写真でのみ登場。

この写真を見たヨハンの、「いい人に見えるんだ!」が怖いです……そうなの、普通のひとに見えます……。
学校の先生やってたあのひとも、パン屋になって配達してたあのひとも、車整備してたあの人も、みんな普通のひとに見えます。

相棒のゲニルカだって。

その状況にさえなければみんなあんなことはしなかった。
同じ立場なら自分もやったかもしれない、と言いゲニルカと和解するヨハン。

メンゲレとはニアミスするものの捕まえられず……!。
追い求めるんだけど一番のターゲットには届かなかった。裁判では十数人のSS隊員を有罪にしたという説明が最後に入ったけど、そこは無念。
メンゲレ、事故死とはいえ、67歳没ですからね……長生きしてる……大人も子供もたくさん殺したひとが……。
アイヒマン逮捕を優先とか、いろんな大人の事情があった描写はあるけどなあ……なんで同時につかまえないんだ?!。

■検事の黒いローブ?着て、裁判始まる!というところでエンド。時間はやく感じました。見てよかった映画です。

■『ヒトラー暗殺、13分の誤算』も気になる。

スポンサーリンク





posted by イナ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック