2015年10月14日

※ネタばれあり 宝塚感想 ミュージカル・ノスタルジー 『星逢一夜(ほしあいひとよ)』『La Esmeralda(ラ エスメラルダ)』 (東京宝塚劇場 2015/9/13.30 雪組)

■すごすぎる……
雪男、すごすぎる……!!

■期待の上田先生の大劇場デビュー作。おめでたい。でも時代劇だしなあ。
とか思ってたんですが……良かった星逢。しっとりして、あらがえない流れに身を置くしかない時代とか身分とか情景が伝わってくる。装置も綺麗。上田先生は美意識すごく高いとかたなんだと思う。美しい演出。組子への愛も感じられる当て書きされた役たち。うれしい。もっと書いて!。もっと作品作ってくれ!!。

 ほんとは一本物でやれるくらいキャラ設定あると思うんですよね……せしるとか翔くんら江戸メンツももっと描写したかったのでは?と。
時間足りないんだな……って感じる作品は多くて、でもこれはきれいにまとめてくれたと思うんだけど、観客がもっと知りたい!てなる。

 村の子たちの人生、ひとりひとりも気になるよー。

 上田先生の作品はそういえば男2・女1の三角関係が多いね。宝塚のシステムにならえばそりゃそうだよね。
ちぎ(藩主)とだいもん(農民)、タイプの違うふたりから思いを寄せられるみゆちゃん(農民)。今の雪組にものすごくあうお芝居だったんだなあ……。

■あらすじ
九州の小さな三日月藩。こどもの頃に出会った、紀之介(きのすけ)、泉(せん)、源太。
幸せな少年時代は急に終わる。紀之介は死んだ長兄にかわり江戸へ赴くことに。後に将軍に気に入られ改革の片腕となり、貧しい農民らに恨まれる老中となる。

故郷三日月で一揆の動きあり。駆けつけた晴興(はるおき。紀之介)。三人の運命は。

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■天野晴興(あまのはるおき) (幼名 紀之介) =早霧 せいなさん

 公演ポスターが尋常じゃなかったんですよ……
ポスターが尋常じゃなかったです……CGかな?てくらいの美形でしたからね……!!
なにあれ。なにあれ。ちぎの顔すごすぎる。ちぎの顔のクオリティすごすぎる。
私的2015ベストポスター賞!!。

 あのビジュアル(青年時代)は意外と短かったのが残念だけど……幕府で偉くなったのにいつまでもポニテってわけにはいかないもんね……そりゃ月代(さかやき)よね……

 あの藍色グラデで家紋が入ってる袴がかっこよかった……美しい上に苦悩するちぎちゃんが麗しすぎて、あと今ちょっと痩せすぎなのでよけいに悲壮感が……。頬の肉が!肉をもっと!。

 子供の頃は気楽な側室の次男防で、「一揆」て言葉も知らず(このへんでは子供の頃にあったきりだったんでしょうね)、星ばかり見ていた。そんな少年が江戸で出世して、言葉も変わって立場も変わって、ていうひとりの男の子の成長がすごい。これはみんなそうだけど、人生を演じているのがすごい。大河ドラマの総集編みたみたいな。

 ちぎちゃんはほんとに演技のひと。ルパン3世からの温度差、同じ役者なの?!と驚愕する。これはるろ剣も今から楽しみですね!!。

 「野風の笛」とか「前田慶次」主人公と同じような自由人ぽい少年期なんだけど、兄が死んで家督を継がなくてはならない、友達と離れなきゃならない、国を強くするため弱者を切り捨てなきゃならない、例外はない……変わらざるをえない境遇におかれた彼からしたら、源太がうらやましかったんじゃないかな。

■オープニング
途中から現れる、どう見ても質素な着物の男……え、と思ったらだいもん。二番手なのにその着物一体!?と驚いたけど、そういえば貧しい村人だもんねだいもん。
ここだけ豪華でも違うか……。

オープニング綺麗でした……!
悲恋の雰囲気もりもり。
「あなたに逢いたい
この夜だけは」
の主題歌いいですよね。

■泉(せん) =咲妃 みゆさん
 少女時代のおさげかわいいー。
みゆちゃんはセリフ声が通るし、清楚なヒロインらしいかわいい声。今回の役はぴったりすぎた。上田先生はみゆちゃんがものすごくよく見える役を作る天才な気がする。

 みゆちゃんは華やかな美女!て感じではない。陽月華ちゃんや冷美うららちゃんとかが「江戸のお姫さまに比べたら……私なんて醜い田舎娘」とか言っても、ん?てなっちゃう。綺麗なんだけど、もちろんかわいらしいけど、そうやって江戸の女に嫉妬するのに説得力のある地味め少女なんだよね……。(このシーンで「負けず嫌い」と彼女を評するの晴興さんちょっと不思議。負けず嫌いとはまた違う感情なのでは。引け目、羨望、嫉妬とか)

 服や髪型が変わり、女性としての成長が声やしぐさにも出てて、やっぱり上手だなー、と。
歌は少なかったけど、歌声も綺麗。

ただ、ものすごいシリアスな時に言う台詞、
「センは殺セン!」
がなあ……笑っちゃう。
なぜ名前をセンに?!。

たぶん「おら」とか「おれ」とか「あたい」みたいな一人称なんだと思うんですよねふつうだと。でもかわいくないから自分のことセンって言ってると思うんですけど……おとなじゃん?!この時代でいったらもう大人も大人じゃん?!
自分を名前で呼ぶのってどうなの。
ここのダジャレで少し我に返る。

■源太 =望海 風斗さん
 だいもんはすごい。

 先日花オーシャンズ11やってて久しぶりにみたけど、改めてテリー・ベネディクトすごかった。源太もすごかった。
だいもんすごくてうまいのはもう当然のことではあるけども。さすがですだいもん!。

 源太が晴興に、泉はおまえが好きだ、おまえがもらってくれるなら、泉をやる!もらってやってくれ!ていうシーンね……。
男としてこれを言える度量ね……。

 晴興は将軍吉宗の親戚の姫さまもらう予定なんです。でも源太はそんなの断って、泉をもらってくれ!ていう。晴興も泉が好きで、泉も晴興が好きだから。それが一番いいから。

 源太ーーーー!!
土下座してまでそう頼む源太。でもそんなのできるわけないのは、源太より泉のがわかってしまっている気がする。
断れる縁談のはずない、たぶん泉のほうが身分の差をわかってるような、そんな望みはないような顔をしてる気がする。
泉は親もなくてほんとに苦労して生きてきたんだろうなあ。泉のがこのシーン、現実をわかってる気がするな。

 こう言ってくる源太を幸せにしたいでしょうよ。
この、一番好きなひとと、一番幸せにしたいひとが違うんだよね泉は。

 なんだこの三角関係……萌える!!。

■貴姫 =大湖 せしるさん
 せしるさんの和化粧大好き!!。ほんとに綺麗だと思うわ……!!泉の「江戸のお姫様は綺麗なんでしょ!」にそうですけど?てなる。
吉宗さんの嗜好で豪華な格好はしてないけどね。圧倒的な美人だ……。

目尻の赤いのがたまらんーー!。

もっと描写してほしいひとのひとり。
結婚生活はどうだったのか、夫の処罰ののちどんな人生を送ったのか。

 夫のかわりに夫の故郷に目を配っていた、それは彼の執着ゆえの無関心なふりを知ってたからなの?とか。

 登場シーンとか、ほんと際立ってる。美しいってすごいな……。

■猪飼秋定 =彩凪 翔さん
 江戸のイケメン。
イケメンすぎる……

 将軍さまの宴?シーンで黙って座ってるだけでもとんでもないイケメン。

 晴興の江戸でただひとりの友。最初はきゃっきゃしてたのになあ。
晴興が「下がれ!」かな?なんかの言い方がほんと厳しくて……このふたりどうなっちゃったの。

 源太と一騎打ちしてるところでは、最初翔くん刀に手をかけてるんだよね!
晴興がピンチになったら源太殺る気満々だね?!

 でも途中から手は外れて、勝負を見届けるんだよねー。

 ほんといいやつ。

■ちょび康 =彩風 咲奈さん
 天然恐ろしい。そんな子いるよね。
ちょび康かわいい。

 こんな泣き虫でかわいいちょび康が、おとなになって、子供を栄養失調(?)で失って、一揆に加わる世の中間違ってる……。

 三日月藩が痩せた土地なら、年貢をもっと最初から減らせばいいじゃん……て思ってしまうそのへんどうなのよ享保の改革……。

■徳川吉宗 =英真 なおきさん
英真さんが雪組にいるのちょっと不思議なかんじ。
さすが専科さん。威厳あったなー。

晴興のこと「かかし」って呼んでたのは着てる着物がボロだったから?ダサかったから?。

■氷太 =鳳翔大さん
 イケメンがここにも!
大ちゃん立ってると少女マンガ界のひとみたいだ……。
やんちゃ感がほんと男子。

■天野照興 =久城 あすさん
あすくんなにごと?ちぎちゃんのお父さん役とかなにごと?!と思ってたけどおもしろかった!
さすがあすくん!。

■泰三 =蓮城 まことさん
 かっこいい。
一揆のシーンの気迫!。

■鈴虫膳右衛門 =香綾 しずるさん
このひとと晴興の交流みたかったな。晴興に助言できる立場のひとだったと思うけどね。
「これがあなたのお生まれでございます」みたいなセリフ、すごく声通ってずしーん。ときます。

■細川慶勝 =月城 かなとさん
 やっぱり熊本の者だったのね……?!
この話、熊本悪者すぎるv 水泥棒しにくるし。熊本一体……

 初見のときすごし下手席だったんだけど、三日月の統治は今後お前に、って任されたかなとくんがニヤァ……って笑ったんだよね。
え?!喜んでる?!以前もさんざ嫌味言ってきたしなんなのこの人?!って思ったら熊本の者とは……。

 しかしかなとくん美しいです。日本物の似合う端整な顔立ちですねえ……。バウ主演おめでとう!!。相手役がありさちゃんなら力強いねえ。

■橋の下にいる遊女たち。
ゴザ肩にかついでるとことか、なんかリアル……遊女って舞台によく出るけど、このランクの底(ちょんの間、ってやつですよね)って感じの遊女で1シーン作るのすごい。

屋敷にいられないで橋の下で体を売る彼女たちは、農家の子。口減らしに売られた子供。

享保の改革は教科書でもいい改革って表現で私もそのイメージだったけど、こういう側面もあったのか……
今で言うと、住宅ローンの金利をフラットにしてたら今年から給与減ってやばい、みたいなことだよね?。

■一騎打ち
源太とは栄養状態が違うんじゃ……とちょっと思う。
源太は妻に「ご飯はないけど……(足湯が)ごちそう」て言われるくらい食べてないよ?。
その源太といい勝負してるって晴興弱いんじゃね疑惑。

子供のころから棒っきれふりまわしてるとか、剣術に興味ある子って設定でもなかったような……やぐらの問題点を指摘したり、万能な子ってイメージはあるけどなあ。

■ラストシーン
 子供に戻るっていうね……
仲良くやぐらで星をみてたあの頃で終わるっていうね…………

悲しいよおーーー!!

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バイレ・ロマンティコ
『La Esmeralda(ラ エスメラルダ)』

■齋藤先生、さすがです!超おもしろいです!
齋藤先生お芝居もショーもいけるとかなんて両刀なの!。おまけにオタすぎて好感持てるわ……。

■とにかくハデで明るくてたのしいショー。
素晴らしい。

■カルメンのシーン
もうナマで見られないと思ってたちぎマーキューシオ…………!!いやマーキューシオ的な髪型ってだけだけども…私たちの愛したマーキューシオが帰ってきたよ!

ちぎちゃんのマーキューシオが大好きです。チャーオー↑、のイカれた感たまりません。
トップになるとここまでヤンキーみたいなカッコすることなかなかないです。貴重です。

敵?間男?の咲奈さんがまたティボルトみたいーー!とんでもないスタイルですね……。

このふたりのロミジュリ感がすごすぎてみゆちゃんやジプシーを全くみられない……!

■翔くんレーサー
すごい下手席でみてたとき、翔くんってはける最後まで目力にあふれてた。

 なんか翔くんに関しては顔がすごすぎて顔しか見られなくてレーサー服が何色かもあまり覚えていないしまつ。

■だいもんの登場
ちぎちゃんや男役たちが舞台で踊ってるときに、階段をひとりおりてくるシーン。

……これは男役トップの登場な気が。

ここちぎちゃんとだいもん逆でよかったと思うの。ちぎちゃん働き過ぎです!

 うしろからゆったりやってくるのはトップの遅れてくる感だと思うんですけどねー。

だいもんは
「酔い~しれる魅惑の花~」
のみわくが「みわ゛くのはなぁー」
みたいな歌い方なのが萌えるしすてきだしうまいしですごい。
この歌い方な……みんなできるようになれ!!。男役らしい歌い方だと思います。この感じおささんとかもすごくいいんだよな……。

■ちぎちゃんとだいもんの衣装のちがい
 白スーツに青と緑の装飾の衣装、単に色違いだと思ってたら、
「ちがう!ちぎちゃんのはキラキラがついている!」と教えてもらったので二回目よくみたらほんとにすごい背中キラキラしてた…………!
トップのお衣装は絶対にどこか差別化されているものなのだ。それが宝塚。

■退団者も出番多くもらってたし、ほんわかした!。さらさちゃんと翔くんの並び良かったなあ!。

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posted by イナ at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 宝塚・観劇レポ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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