2014年09月03日

小説感想 小野不由美先生 『魔性の子』 『残穢』 『ゴーストハント2』

『魔性の子』

■あれ……十二国記って中華ファンタジー的なあれじゃなかったでしたっけ……なにこれ陰惨……怖い……てなった。シリーズ読んでるお友達によるとこれはちょっと番外的な扱いらしい。ここから読むべきではなかったか。ホラーです!。

 映像化しても面白そう!。
女の腕が少年の足にからみついてる様子とか、夜現れる目を見開いた女の姿とか、表現がぞわぞわくる。
 手を釘で打ち抜かれた子いい子だったな。(このシーンも怖かった……!)

 面白くて一気に読んでしまったので、シリーズの続きみてからまた読み返したいなあ。

 ちょいチラしてる世界が十二国記世界ということなんだよね。
この話の主人公たちは本編にも出てくるのかな。

 教育実習生が生徒を自宅に泊めるっていろいろすごい。


『ゴーストハント2』
■こちらも間違えて『2』から読んでしまった。(こんなんばっか)けど設定わかりやすいし面白かった!。若干『1』のネタばれ入ってしまったけど。
 ずいぶん文体違うなあと思ったら元は少女小説なんだね。主人公が勝ち気な女の子で、美形でナルシストの心霊探偵ナルの助手となり、変事件に挑む的な。
 ポルターガイストに悩む洋館がテーマでした。さっきまで使って手元にあるはずの物がふと移動してなくなっている、って描写が不気味で好き。

 霊視できる和風美少女とかケバめ生意気巫女とかチャラ坊さんとか関西弁エクソシストとか登場人物がおもしろい。

 アンティークドールの怖さ……。
横にすると目をつぶるタイプは見開きタイプよりはいいけどこっちもこっちで怖い。もし開いてたらより怖いだろうがーーってなる。


『残穢』
■作者さんの実体験ぽい作りに見せた小説(だよね?フィクションだよね?ね?)。

 読者から、「住んでいる部屋で物音がするんです」、という手紙をもらい、部屋が悪いのか?なにか過去にあったか?と調べ始めると……というお話。

 連鎖、がテーマなのかな。
ケガレの連鎖、恐怖の連鎖、伝わっていくもの、消えてなくならないもの、共鳴して影響を起こすもの……。じわり和風ホラー。

 背後から聞こえる音はなんの音なのかを探るうち広がる想像が怖い。畳をするような音、同じ場所をすっている、無気力に箒を往復させる女?、いや箒でなく着物の帯?、すって動くのは首吊りに使っているから?と音から膨らんでいくものがすごかった。だから人間って恐がりなのかな。

 前半が恐怖をあおってく作りで、後半はなぜそうなのか、って解明をがんばるので、ホラー小説的には全体的にはそんな怖くないです。怖がりたいぜうおーー!ってテンションで読むとちょと違うテイストかも。

 じわじわ怖いというか、現代ならではの不気味さが残っていい読後感なんだけど。賃貸の前の住人はどんな人だったのか、とか、この建物のある土地はどんな土地だったのか、とか、わからないまま暮らしていて、もちろんなにもなければそんなこと気にもしないんだけれど、怪異に当たったとき、それが大きな意味を持ってしまう。

 『呪怨』って、すごくよく出来てて大好きなんだけど、あれもストンと納得できるストーリーなんだよね。ひどい殺人事件があった家があって、その家に関わると無差別に呪いがかかる。理不尽なのに納得いってしまう。
ケガレに触れたから、って同情と、じゃあしかたないね、みたいな納得。『パラノーマル・アクティビティ』もそうかな。
 なにも悪いことしてないのに、家に関わっただけでとりつかれるってほんとは納得いかないことなのに納得しちゃうんだから不思議……。

 このお話も大元の『呪怨』の家、みたいな本家があって、「物音のする部屋」の手紙を送ってきた読者の怪異はとこから伝播してきたものではないか、という。

 物語としてきっちり解決はしないので(そこもルポ風)、そうなんだろうな、って読んでて解釈する感じ?。怪異から離れるのが一番の解決法とするなら、君子危うきに……ってほんとに格言だな。

 私の大好きな平山夢明先生も登場。作中でも先生かっこいい!!。クーーーーール!!。アドバイスしてくれたり資料を送ってくれたり廃屋探検に同行してくれます。
旦那さんの綾辻先生も出るかと思いきや出ない。話題にあがるだけ。ちぇー。しかしいい距離間のご夫婦で素敵だ。
posted by イナ at 02:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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