■原作は大分前に一度読んだだけなので、ちょっと忘れかけた状態で観ました。
原作面白かったけど、映画にしたら変に派手にされそうで心配だったんですが、予感は半分当たったかな…
そういうのいらないわ!!!てちょっと思いましたね。大人の事情が垣間見えます。
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あらすじ読者からの投稿をもとにホラー小説を書くコーナーを担当している
作家の「私」に、女子大生・
久保から手紙が届く。
彼女の一人暮らししているアパートの一室で、妙な物音がするというのだ。
それは女が箒で畳を掃除をしている音のようだというが、ある日、畳をすべる女物の帯のようなものが見える。部屋で過去に自殺があったのではと懸念する久保。
興味を持ち、久保とともに調べ始める「私」。そのアパートで過去に事件はないといわれるが、調査を進めると、久保の前の住人男性が引っ越したあと別の場所で自殺していたこと、別の部屋の住人からも怪現象の報告があったこと、アパートが建つ前に事件があったこと…とつながりが見えてくる。これは、触れることで影響される、
穢れなのか…??
原作
小説の感想は
こちら→
※以下
ネタばれありホラーなんですが、直接的にバーンと何かが出てきたり、アクションシーンはない原作です。主役小説家だし。
当事者でもない「私」が興味と探究心により足で調査して文献調べて、友人の協力も得て、真相に近づいていく。謎解きの要素が強い。トリックではなく、土地にまつわる縁をひも解いていく作業で、民俗学ぽいです。
原作も非常に筆力ある作家さんなので(大好き!)、お化けバーン!!キャーーー!!!な
紋切り型の展開とは一味違う、ぞわーーーっとくるものが面白いんだけど、暗く視界の悪い映像演出もいい味出てると思います。
ただどうしても、「観客を驚かせないといけない」しばりは感じます。
和ホラーってほらよ!!と驚かせないでも見えないところを想像してビビらせる、訴える怖さがあると思うので、ほんと後半…とりわけラストの蛇足感ははんぱないです。これさえなければ…て思った。
でも原作リスペクトして作ってくれてる感じはするので、制作側も妥協して妥協してのラストシーンなのかもしれない…。
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私=竹内結子さん
お綺麗。じみーにしてますけどお綺麗だなあ。
ノートPCで仕事してるときの画面に向かって覆いかぶさるような姿勢の悪さがリアル。
目悪そうなひとの感じ。あんなで長時間やってたらそりゃ首も肩も傷めるだろ、と思います。
マンションの穢れ、いやそれが建つ前、その前、その前の…と辿っていく地道な作業の本編と、彼女の私生活では土地を買って夫婦の暮らす家を建てようとしている対比がいいです。
あれこの土地ってどんな土地なんだろう。私たちが住むまではだれが持っていて、何があって…て考えると怖いものがある。リアリストな夫の言う、そんなこと言ってたら日本中すべての土地がなんかしらのいわくつきになってしまう、というのも正論なんですが。
結果的に「私」の家にもなんかしらがついてきちゃってるよーーーというラストなので、なんていうか、夫がかわいそうですね! 無 関 係 !なのに!
ただ、みんながみんなやばくなっているわけではさすがにないでしょうし、そこは影響の受けやすさとか相性とかあるんでしょうかね。
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久保=橋本愛さん
こちらもお綺麗。ふたりとも化粧っけあまりないシンプルーないでたちなんですが、きれいだーーー
気弱にただ怯える性格ではないので、このくらい凛々しい子でいいんでしょうね。
原作久保さんは地味なんですが、映画にするにあたってミステリ好き女子大生というスペックを追加してきました。なるほど…
ふつうもっと早くに引っ越してるよ?そりゃ学生さん更新期間残ってるのに引っ越しはハードル高いだろうけどさ…まあ引っ越しても解決にならないのが穢れなんですね…
ホラーのお約束とはいえ、なんで部屋暗くしてるんだろうね。
自分なら、とりあえず一日中明かりつけっぱなしにするところからだな。
ばっとベッド下をのぞきこむ勇気がすごい。
物音のする部屋に背中を向けるのも嫌だし顔向けてるのも嫌だわ。
物音部屋は間取りからすると寝室にしてたはずだけど(1LDKかな?)、どこに寝てたんだろう。ずっとあそこで寝てたんなら勇者!。
引っ越し先快適!と言ってたのは最初だけで、また音がするようになった…という暗くあきらめた表情が怖い。同じ部屋に住んでいた久保さんと梶川さんで、起きる怪現象が違う、というのが興味深いです。そして梶川さんの自殺した部屋に新しく住んだ男は久保さんのほうのパターンに近い…謎。
「私」に手紙を送るくらいだし、サークルもミステリ研究みたいなところだし、好きな作家さんと一緒に調査だしで、ファンだったらちょっとうれしかったのかもしれない。
最初は。
「もう…やめにしませんか」
とお話を止める役目なんですが、平山さんとか普通に調査続けてそう。
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平岡芳明=佐々木蔵之介さん
え笑っていいの?な平山夢明先生(大好き!!)役。やばそうなひとじゃないですかやだー
物語を核心に連れて行くあやしい水先案内人みたいな。
話してはいけない、聞いてもいけない。それがもう怪談なんですよ、みたいなセリフが印象的。
あと、つながっている。
違うところから聞いた別の話のはずが根がつながっている。ルーツが同じ。こういうのは「やばい話」です、という説明も好き。
聞き取りで実話怪談を収集している作家さんの説得力。
その説でいくと「私」より久保より誰よりこのひとと三澤くんがやばいはずだよ!
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夫=滝藤賢一さん
不動産屋さんとの約束をすっぽかす妻にもやさしいいいひと。
買い取った土地の地鎮祭終わったところで妻が土地の呪いがーみたいなこと言い出してもたしなめるいい人。それ今一番言っちゃダメなやつ。
人感センサーの照明が誰もいないのについたり消えたり。
「不良品かな…」て当たり前のこというのにそれは違う…と思わせてくれる。日常にいる存在でした。
ラストシーンでも、誰もいない廊下に照明はそっとついて、それを少し不安げに眺めるのが印象的です。
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三澤徹夫=坂口健太郎さん
怪談マニア。
ちょっと髪もっさりさせてくらいでは隠せていないイケメンの空気。
でもにまにまして気持ち悪い話を楽しそうにする感じがちょっとキモかっこいいという新しいジャンル。
福澤徹三さんがモデルと思われます(たぶん)。
■後から知ってびっくりしたキャストは成田凌さん(事故物件に好んで住む人)。
なんかキモい人だと思ってみてたから気づかなかった!
■怪現象
何も映像に出さないほうが怖いのになー。ないのにある(いる)のが怖いのに!!
昔のスーファミ(通じますか…)みたいな感じで黒い人影うぞうぞと動かしたり、ちょっとやりすぎかな…炭鉱のあたりとか。
■ラストシーンの
蛇足二連発について
せっかくじんわりといい感じで進んでいた作品なのに、最後だけどうしても入れなくてはならなかったらしい、お化けキタ!キャーー!なシーンについて。
急に電気が消える(バン!!とオフィス全部落ちる…急にパワーアップしたね!?)、パソコン画面が勝手に動いて文字化けみたいになり、聞いても呪われるとかメッセージを映し出す(えええーウイルスぽい)
手が炭だらけになる(絶句…)
そして事故物件に住んでいる男性にいたっては、もろおばけ本体と遭遇(抜群の
存在感)。
たぶんふたりともアウトだろう、というところで終わる。
この作品自体が著名な実在の人物が出ているので、さすがにそのかたたちはターゲットにできず、中途半端な位置のひとたちに死亡フラグがたてられてしまった。
もちろんこのシーンは原作にはまったく出てこないので、衝撃のラストに「ちょwwww」となって終わる。
エンディングロールとともに謎を残す和尚さんはいいよ?でもこれはないわ…
繰り返しますが、おそらく入れざるをえなかったのだと思いますが。
おばけ出てねーじゃん!!出さないと!!これじゃ怖くねーよ!!みたいなこという偉い人がいるんじゃないかと。
■住職さんの謎
こちらも原作にはない(はず…記憶にないなあ)の、謎めく住職さんのシーン。
作品は「私」の一人称なので、本来は私が知りえない情報は出てこないんですが、映画は神の視点なので、ひとり絵と対面する住職さんのシーンが長い時間うつされます。
顔が歪む女の絵はお寺に奉納されたはずが、「私もみたことがないのです」
と否定していたのに、あるーー!!あったんじゃん!!という驚きが待っているのですが、絵をみつめるその表情といい、謎なんだよなー。
そして絵の女の顔が歪む…でエンド。
(女が笑うのを見るとよくないことが起きる…つまり観客も見てしまった!ていうことだと思う)
なんだろう?と気になってエンドロール観るの楽しかったのでこういうの好き。
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