※全体的に毒吐き
■あらすじ■
妻を殺されて復讐を誓う元教師の鈴木。
犯人と思われる「寺原親子」が関わる怪しい会社『フロイライン』に潜入中。
依頼され、ターゲットを自殺に追い込む仕事をしている鯨(くじら)。依頼人だった寺原に情報を知りすぎたと命を狙われることに。
殺人の依頼を請け下準備する岩西、実行する蝉(せみ)の二人組の殺し屋。寺原の依頼で、自殺屋の鯨を殺そうとする。
知り合いでもなんでもない鈴木・鯨・蝉の三人の男たちが交差する、二日間の物語。
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■グラスホッパー好きなのに!!
なんでそうなったよー。なんでハートウォーミングにまとめようとしてんだよーー。
公開時、映画館行くか悩んで、火傷しそうだやめとこう……となった映画ですが(『脳男』も私的に今イチで、その監督さんだったので)最近みたけど、うーん。
原作好きすぎて、なんか……。なんか……。
といってもだいぶ記憶もうつろなんだけど、とにかく違う感がすごい。
忠実に作ってないとかじゃなくて、なんか日和ってる印象…全体的に。そしてバッタとシジミ以外のモチーフぶった切った上、別の要素だけどんどん足してこられても……。ハロウィンにちなみすぎてるのは公開時期にあわせてるのかな?。
原作素晴らしくて、役者さんもすごいのに、なんかな!!てなった作品でした。
原作読もう……。
納得いってないところをまず。
■えー(´・ω・`)、ってなったところとしては、第一に鈴木がすごいマトモでヘタレのちゃんとした人なんですよね……。
原作ではすごく危うくて、そもそも「幻覚をみているかもしれない」くらいおかしいんですよ。
その幻覚が、
信号かわんないな……長いな……とか、ずっと電車通過してるな……この電車長いな……
とか。
こういうの感じるって幻覚みてるひとによくあるというセリフが原作にあって(ほんとかは知りませんがなんかリアル!)、ものすごくゾゾッとくるんですよね。
鈴木、大丈夫か?!いま鈴木現実にいる?!
事件は解決してると思うけど、鈴木!!鈴木ぃぃ!!ていういいラストシーンで。
こういう危うさまるでない設定……。
彼の復讐って、ふつうの社会人が敵の会社飛び込むとかものすごい冒険なのに、ふつうなんだよなー。鯨・蝉が非現実的だから、対照的に真人間にしたんでしょうね。鈴木は元は真人間なんだけど。
■百合子(妻)
妻とのシーンがちょいちょい挿入されています。
原作では殺されっぱなしだったんだけど、名前もついて(名無しだったような……)、女優さんキャスティングして、出番ないってわけにもね。てことなんだろうけど、いやーこの夫婦のエピソード挟むなら蝉と鯨もっと描写しようよ!。そこ説明不足なのに(とくに鯨)、過去エピがんがん入ってくるよー。
奥さんがいい人だった、鈴木は彼女をとても好きだった、ていうのは必要かもしれないけど、プロポーズでケーキ焼いて中に入れたアイテムどれになるか……て外国か!!!そんな浸透してないわそれ!!
そもそもそこ職場だよね?学校の給食センター的なとこだよね?職場でオーブン使ってケーキ焼いていいの?という現実的なところが気になる……なんでそんなとこに指輪持ってプロポーズに現れるよ鈴木……(そういう不器用なひとって描写なの?)
指輪受け取ってください!て渡したら、それ生地にぽとりと落とされて焼かれたらびっくりよ……。
そしてこういう食べ物に異物入れる系って日本じゃ流行らなそうだよね。金貨とか布とか。
死に際の、奥さんいい人アピもいらないよね……
突然の暴力に命を不条理に奪われた。
それが恐怖であり、鈴木の怒りの原動力であり、現実に起きうる恐ろしさなんだからさー。
奥さんに20分くらい使っちゃってるわけで、蝉と鯨もっと描こうよー。
でも、冷蔵庫開けてしゃがんでる奥さんにうしろから近づいてぎゅっとする生田くんかわいかったけどね!
(あのシーン冷凍庫の扉開けすぎだよーーーーー!てそこもつっこみたいww開けっ放しでいい話してるふたり……)←あんなに開けっぱなしにしたら警告音鳴るよ!。
■いい話つながりで、ラストのタイムカプセル設定
お……おう……そういうのに持ってきたいのね……
これ、つっこみ待ちですよね?
・奥さんの残した料理
一年以上たってる冷凍の料理ふつうにチンして食べるーーー?!
一年冷凍庫いれっぱなしだと霜すごいつくと思う……そしてそれを取り出して、べたっと触ってる生田くん……それ冷たくないですか……。
・子供が拾ってた指輪
…………遺体が安置されていた場所にお財布とかケータイとか置いてありましたよね。
百合子に助けられた子供がそれを持っていかなければ、タイムカプセルなんかじゃなくふつうに一年以上前に鈴木のもとにあるべきもののはずですけど……。
なんで子供が持って帰ってていま鈴木に返したことがタイムカプセルなんだよ……怒れよ……て思いました。
ハロウィンと指輪・料理のタイムカプセルがわざわざ付け足したわりには秀逸な設定とも思えない状況……。
奥さんが調理師(たぶん)なのもケーキイベントのためなんだろうし。
子供がなんで遺品パクったのかわからないままですけど。百合子のこと好きになっちゃったのかな! ていうかなんで子供あそこにいたの……
(あの事件で子供の親も死亡。なんやかんやで子供は『劇団』(なぞの組織!)に入った、とか?。もともと寺原関係を追っててあそこにいた?とか。それはないか。あの事件は実行犯寺原じゃないし)
指輪ももっと早くに返してやれよ……なんで一年置いたかな。
登場人物のやることに納得のいく合理性がないと思います。
そもそも子供ふたりいたのにひとりしか連れてない麻生久美子さんにもつっこんでほしかった。
原作だと鈴木の指輪は大事なモチーフなんだけどなあ……
百合子の指輪の動きは謎が残る……そういえば鈴木指輪してたかな?記憶にない。
■鯨の説明
足りなかったですよね。超能力者としか見えない……まあ超能力者に近いものはあるんだろうけど。
キャンピングカーに住んでる!。外見ボロいけど中はなんか耽美! ぷちシャンデリア……?。
原作よりきちんと生活しているようでなによりです。
私の鯨のイメージって、ワンピースにでてくるバーソロミュー・くまみたい感じだったので、浅野忠信さんスタイリッシュなコート姿でかっこよかった。
鯨が依頼ではないのになんでこんなことするのか、がわかりにくい。
百合子より鯨描いてほしいよ!
■鈴木=生田斗真さん
安っぽいスーツ汗だくにしてキャッチに励んでいる姿がよかったです。あんなキャッチじゃ誰もつかまらない……
結局つかまってくれたひとりはサクラだし!。
「先生ー!私に理科教えてくれたじゃん!」て言われたら「あ……あー久しぶりだなー(誰だっけこいつ…)」
てなりそうなのに、嘘つかない実直さね!。
自分だって大変なのに、この自称教え子を助けようとしたり、押し屋に忠告したり、いいひと鈴木……。
幸せからの落差、がすごい。
教師から、あやしげなキャッチ、風船配りのピエロ、と職歴がなんかすごいことに。
個人的には鈴木はもうちょっと地味な顔で年上のひとがよかったな。長谷川博己さんとか。
■鯨=浅野忠信さん
前述の通り描写が少なくて、よくわかんない人になってましたが。
自分が自殺させてきた人がいつでもそばにいる……というホラーな毎日。
死語は蝉ときゃっきゃしててなんでそんな楽しそうなの!と衝撃。
原作より幸せそうでよかったね。
■蝉=山田涼介さん
蝉は依頼のとおり誰でも殺す殺し屋で、ふつうに暮らしてる主婦とかも殺す奴なんだけど、山田くんがんばってそんなアウトローな雰囲気だしてました。
そこまで卑劣な殺人はしてなくて、わりと正面からケンカ売ってたけど。
岩西との関係が萌えポイントなわけですが、ケンカしてそれを許すシーンがすごくさっぱりしてて良かった!。
年の差もけっこうあるんだね。
ダチという関係なのか…兄弟的なイメージだった。
生きている実感をシジミの呼吸に感じたり、罪悪感(だよね)がやまない耳鳴りと表現されたり。鯨とは違う形で、でもこの生業のひとに現れるもの。押し屋はなさそうだけど、彼にもなにかあるのかな。
鯨との和解は、殴りあって「おまえやるじゃん」「おまえもな」状態ですかね。
蝉「どこいくんだ」
鯨「べつに」
蝉「じゃあおれんち行こうぜ」
鯨「?」
蝉「シジミ見せてやるよ!」
鯨 笑顔
えーーww
そして鈴木(生きてる)を見かけて
蝉「なんだあいつ」
鯨「さあ」
みたいな。(セリフは意訳です)
主人公ぞんざい!。
そうか……鈴木は蝉も鯨も知らないまま終わってるのか……。
鯨とドライブ行くのもいいけど、岩西も途中で拾って連れてってあげてほしい!。
■岩西
「俺はとぶんだ、死ぬのはそのついでだ」
みたいに言うのがかっこいい!。
あの落ち方は助からないやつ……足からいけば命は助かったかもなのに。
彼の後悔はこんな世界に蝉を引きずり込んでしまったことなのか……悲しいふたりだなあ。
■押し屋=吉岡秀隆さん
ゴミ箱から雑誌拾って読んでるーー!そんなリーマンよくいる!
ふつう感がすごい!。ひとを押して車にひかせて殺したあと、こんなにも平常運転。
一番すごいのは押し屋かな……。
押し屋は押しただけですぐ逃げちゃうけど、飛び出してきた寺原を轢いてしまったとばっちりの運転手、殺されてしまったようですけど……不運すぎる……。
押し屋ってほかの人に殺させる仕事なんだね。
吉岡さんのひとのいい笑顔、そこにある疑惑……
もっと押し屋なことしらばっくれてもよかったのに。
作品の重要なテーマであるバッタの習性も語ってくれます。
バッタ、ちょっとでるならいいけどものすごい量飛び交ってるのでビビる。
外国のひとがみたら、日本こんなバッタいんだ!て思われてしまう。
あんなにはいません。
バッタは、過密に増えると黒くなり、凶暴になる。人間も。
田舎暮らしが一番なのね……
渋谷のスクランブル交差点が事件の起きた場所でもあり、増えすぎたバッタ達の行き交う姿でもあるんですね。
暴走車つっこみによる事件現場で、死体写真とろうとみんながケータイかざしてたり。
なぜかライン画面に死体写真友達にみせてるヤツとが、なぜか「おれ神!」みたいに書いてたけど、生き残ったから?。
もっと鈴木とからんでほしかったよー。
最後の話は麻生久美子さんじゃなく押し屋でもいい気が。
■寺原親子
あまりに見た目から悪くて!こりゃ悪だー!
ジュニアはさらった女の子どうするつもりで……恐。
原作だと妻を殺したのが寺原ジュニア本人だったのが別の麻薬中毒者なので、もっと直接寺原宿敵!でよかったと思うの。
■フロイラインの社員=菜々緒さん
お綺麗ですね!。こんな人が美容グッズ売りつけてきたら説得力あるわあ。
殴ったあといってえー!て手押さえてたね。殴っただけの衝撃が返ってくるもんねえ。
■鯨vs蝉
ふたりともちょっと楽しげなのね。
そしてちょっと鯨、父を殺した過去を語ってみたり。
蝉「そりゃヘビーだなあ」
感想が優しい。
ウエイトに差があるんだからナイフは使ったほうがいいよ蝉。
■原作で印象的だった、章の区切りでハンコでてくるのとかが映画にもあって楽しかった!
思ったよりハートウォーミング!!
やっぱり原作は偉大
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ラベル:邦画